「印象」
全体的に今までのセンター試験に比べると「難化」
(10~15%くらい平均点は下がるのではないだろうか?)
・組み合わせて問うので解答までの過程が長い。
・読み取らなければいけない資料・統計・地図が多いので時間がかかる。
・統計や地図を見れば地理的知識が乏しくても解けてしまう問題もある。
→授業でコツコツ型の受験生には辛い。
第1問
A 問1 けっこう凝った問題
隔海度以外の条件を揃える。季節風の影響を受ける東岸より海洋の影響の大きい西岸と比較する。
問2
基本的問題だがストレートではない。気候の理解に加え読解力も必要。
問3 難問
(ッ)をどう考えるかで悩む。同じ季節における変化を見た方が対策を考えやすいだろう。例えば、日本でも豪雪による被害を考えるならば冬の雪が降る時期を長期に渡って分析してその原因などを分析し予報に活かし対策を考えるなどできる。
B問4「マ」
新期造山帯の環太平洋造山帯・アルプス=ヒマラヤ造山帯に位置する山、エベレスト・デナリ(マッキンリー)・アコンカグアの三山。該当する「個数」を答える。
問4「ミ」
エベレスト・デナリ(マッキンリー)・アコンカグアの三山。
オーストラリアのコジアスコ山は古期造山帯で低い(図2にも標高が示されている)ので山岳氷河はない。
※「J~M」の中からの数なので「キリマンジャロ」は入らないから注意。
問5
正誤の組み合わせを選択する形式。森林の存在は当然「気温」とも関係している。
問6
資料が何を示しているかを理解すれば解けるが処理時間がかかる人には難問。夏には氷河や雪解けの水が増えるが氷河がなくなればその水の恵もなくなる。
第2問
問1
まず統計の読み取り、その後各国の事象という2つのポイントがあり両方できないと正解にならない。
問2
EとFの判断が迷うのではないだろうか? 増えているのは養殖。世界的に「とる漁業」から「育てる漁業」へ移行していることが分れば解けるのだろう。
問3
「輸送費」は「重さ」と「輸送距離」に比例する。だから「製品になって軽くなる」と「安く運べる」という知識が前提。しかし、①は4万円、②は3万円、③は5万円なので最も安い②の2万円を選ぶ。究極的には足し算の問題。「地理」授業での学習が生きるかどうかは少し疑問な問題。「知能テストっぽい」
問4 かなり難問
まず、工場の数で多いのは「飲用牛乳」工場。昨今、飲用牛乳工場数は減少傾向で推移しているが、H26年には203工場、乳製品工場(バター・アイスなど計)数は横ばいで推移し、H26年には44工場(大手企業だけのの数と思われる)。
データ→
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/gyunyu/
引用(地図表示有り)→
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/nogyo/20161018/161018nogyo10-3.pdf
バターは乳を濃縮し、体積が減る。都府県では、大消費地に近い立地条件を活かし、飲用向けの主たる供給地として、中小乳業の飲用工場が多く分布。北海道では、生乳生産コストが低い一方、大消費地から遠いため、保存が利く乳製品(脱脂粉乳、バター等)の主たる供給地として、大手乳業の乳製品工場が多く分布。
問5 これも難問
アジアNIEs(NICs)の時代からASEAN(タイ・マレーシア)、そして昨今はベトナム・インドネシアと考えるとASEANへの投資はコンスタントに続いている。中国への投資は爆発的だったが、人件費の高騰や規制でかつてほどの勢いは押えられた。貿易摩擦解消策として急増していた米国投資は人件費の高騰や周辺国での生産に切り替わり減少。米国の推移は欧州に近似している。
問6
街中を観察しそこと世の中の仕組みを紐付けておかないと解けない難問
百貨店の判別は簡単にできるはずだが、スーパーは週末食材まとめ買い(共稼ぎ)を車で行うのに便利なロードサイド。コンピには住宅近所にあると便利、その他地域に含まれる学校や病院にもある。「小売業計」においても、郊外のロードサイドに住む人は少なく、旧商店街では儲かっているかは別として店舗付き住宅は多いので「マ」が住宅街。
第3問
問1 ①はア、②はエ、④はゥ。 イ(インド)だけを選ぼうとすると誤りやすい。
問2 複雑で解きにくい(難問)
人口第1位都市は15~64歳の割合多。高齢者が少ないのがケニア。0-14が少なく65以上が多い「ク」が韓国(ソウルに一極集中)、多文化主義のオーストラリアは移民・若者が都市に多い。
問3 模試などでも良く問われるインド人の海外での活躍。地図と文章だけである程度は絞り込める。
問4戦前には都心隣接郊外、戦後の高度成長期(1965-70)には郊外のニュータウン※Cはニュータウンのある多摩市。そして近年はタワーマンション居住で都心への回帰。
問5 やや難
単身赴任は都市部の賃貸、地方のシャッター街や過疎地は空き家、リゾート地は別荘。日頃から社会でおこっている事に広く関心を向けていれば簡単だが、そういったことに関心がなく「受験」のためにそれを「勉強」として身につけている人には、やや難かも知れない。「常識」を働かせて正解できる様になりたい。
問6
下線部の内容と地図・資料をしっかり見比べれば難しくはない。(処理時間との勝負)
第4問
今年の地誌は複数比較地誌ではなく時事問題がらみで米国単独だった。
A 問1(1) これは解きやすい。教科書の定番。
問1(2)前問が解けていれば分るだろう。
(B問5とも関係する) 安価な労働力→貧困
問2 やや難。各地域の産業の特徴の理解が前提。南から北にテキサス~オクラホマ・カンザス・コロラド~ネブラスカ州は「オガララ帯水層」(化石水)によるセンターピボット農業。石油化学など化学工業は水の使用量が多い。マサチューセッツはボストンがある都市部なので生活用水。
問3 ハイサーグラフの月平均気温の0℃の所に線を引くと「シ」のグラフの寒さが際立つ。と言う事で内陸のミシガン州、テンサイは寒いところで栽培され絞りかすは家畜のえさ。ワシントン州は西海岸。地図があるので州名の知識は不要。
問4 複雑で難問 社会や国の構造を問うている。なかなか難問で複雑、慎重に考えたい。③のデトロイトにはアフリカ系の単純労働者が多い。④のシアトルにはスタバ・マイクロソフト・アマゾン・ボーイングなどの本社が有り都市部でアジア系住民が多い。(西海岸にはアジア系多い)②はヒスパニックとアジア系で判断してワシントン州全体
B 問5 西海岸カリフォルニア州やメキシコとの国境付近は外国生まれの人口が多い。南部は貧しい(サンベルト→安くて豊富な労働力)、大陸内陸部(田舎)は持ち家率が高い。内容は平易だが誤りやすいかも。
問6 図を丁寧に読めば分るが時間との勝負。「トランプ氏」は共和党といった時事知識があると楽に解ける。
第5問
噂の「ブラタモリ」問題だがテレビを見ていなくても解ける。
問1 丁寧に読み取る → 処理時間との勝負。
問2 出たとこ勝負の読図能力だけで解ける。
①は魚屋町などの地名から町人町、③は堀があった、④の市役所は川の西側で城外
問3 砂州である「天橋立」の「しなり具合(カーブの方向)」や手前に広がる地形を参考に判読する。①はD ③はC ④はB 4つとも決めることで確実に選びたい。
問4 選択肢が多い(8択)が慎重に取り組めば解ける。
問5 「地方都市での郊外化?」という所に違和感を感じれば選択肢の部分の記載だけで半ば常識的に判断できる。
問6 「シ」のところで時間がかかる。図を丁寧に読み文脈から考える。(こういった問題は時間都の勝負なので訓練が必要か?)
以前までの問題(センター試験)に比べるとぐーんと難しくなっていました。
「なぜそれはそこにあるのか」
因果関係特に「結果」から「原因」を探る作業が重要になったかな。
さらに「それはどうあるべきなのか」「どうすればそうなるのか」といった
未来創造型になってくれると楽しいのだが。
※「何!」「なぜ?」「オー凄い♡」と心が動く事が大切です。
おまけ・・・ 「大学入試センター」関係の過去の問題に対する感想
※ 2020年
2020センター試験地理雑感 - Geogami’s blog
※ 2019年
https://geogami.hatenablog.com/entry/64769723
※ 2018年
https://geogami.hatenablog.com/entry/64465508
※ 30年度新テスト試行問題
https://geogami.hatenablog.com/entry/64743166
※ 29年度試行問題
https://geogami.hatenablog.com/entry/64433562