Geogami’s blog

日々の身の回りの出来事を中心に、 キャリア教育・地理教育 アクティブラーニングなどの教育方法 ICT等の話題を綴っています。

2013年度高等学校教員のための指導力向上セミナー広島大学大学院その②

高校生のためのキャリア教育のヴィジョン 
アイデンティティとキャリアの基盤を育てる-
  岡本祐子 (広島大学大学院教育学研究科教授)講演より

 
・臨床心理学がご専門
・高校の先生方のための指導力向上セミナーということで
 心理発達の視点から話をする。
・大人の臨床と発達を専門としている→アイデンティティーとキャリアは密接
・思春期青年期のキャリア形成に何か求められているのか?
・就職教育ではない、人生なんのためにキャリアを積むのか
・高校時代に何を掴んでおけば良いのか?
①・キャリア教育が難しい時代になっている
②・人生を支える基盤としてアイデンティティーが大切
③・高等学校段階の教育
④・臨床から
 
・白井先生「時間的展望」の研究者
・大学生段階の将来展望ですら→
「就職結婚出産、老後は夫婦水入らず」紋切り型のキャリア展望しか持てていない。
現代社会は生きにくい時代になってきている。

・親御さんも未来を語れない
・親の背中を見て子は育つ!肯定的な支えだったのが今は?
・高校生の親の世代も生きにくい、中年期も生きにくい。家庭職場親・・・・
・漂流するアイデンティティ
・高等学校の段階でプロである先生がキャリアのビジョンを育てていくべき。
・「大人になる」とは?なってしまえば後は大丈夫?そういったことを高校時代に分かっておくこと。
・高校時代にイメージを持っておくこと↓
・人間は人生を通じて発達する。いくつかの危機がありそれに向き合うことで自分というものは成長するのだ。
 アイデンティティーとキャリア。
・紹介を通じてのアイデンティティーとしてのキャリア。
・高校の教科に心理学はないがこういったことを話をしてみては?
・「アイデンティテイー」エリクソン1950年提唱、
→誰でも知っている。「主体的な自己のあり方、所属集団(居場所観)での調和」
・キャリアの概念も時代と共に変わってきて仕事と職務だけでなく生涯にわたった概念
・キャリアとアイデンティティーはコインの裏表?
・キャリアがアイデンティティーを支えるものになる
・危機「クライシス」は発達的な分かれ目「峠・岐路」発達の分かれ目。
 自分がさらに成長発達するチャンス。
・青年期を上手くクリアすれば後は何とかなるといったものではない
・中年期の曲がり角
・「破局」の問い直し。
・「中年期の危機」構造
・危機を乗り越える力
・自分の有限性を自覚する。
・自分の生き方の問い直し
・自己に向き合う力、主体的に自己の問題に取り組む力→「危機」を乗り越えた後に「より納得できる自分・主体性・自己確立観」
・多くの人は話すこと等で克服
・自分にとって嬉しくない順風満帆出ないとき何が自己を支えるのか
 →自我の力
・みんなが主体的に取り組める訳ではない。
・より納得できる自分
アイデンティティーの問い直しは「繰り返される。」
エリクソンは青年期の課題いとしていたが、
そこで獲得した者で長い長い人生を歩んでいけるか?
そのように考えるとライフサイクルの中で何度も問い直されるものにっなてきている。
 
・中年期は青年期の理論では超えられない
・青年期→自分は人生の中で何がしたいのか、何をして生きていくのか。
・中年期→前半生でやってきたことはこれで良いのか。その実りは得られつつある。
・現役引退期→人生の中でやりたかったことは達成できたか。
トータルな生き方としてこれで良いのか?

女性特有の問題が・・・・

・成人女性のライフサイクルの複雑さ。
・ライフコースの複雑さ
・面接による研究を進めている。じっくり話を聴き共通点を導き出している。
アイデンティティーは人生を通じて何度も問い直されながら創られている。
・若者はパッシブ、
 自分に向き合わないといわれているが自分で進路選択に向き合わなければならなくなって何を感じるか?
自分の生き方を考え一つを選び他を捨てる。
エリクソンの時代とは違ってきている
・自分の見直しの中で中年期以降のビジョンを持つ。
・危機に等向き合うかによって再獲得
・青年期に自分のやりたい方向に行けなかった場合は「アイデンティティー拡散」する。
・そういった場合でも中年期にアイデンティティー達成する事も。
・自分の人生を主体的に考える指導を。
・女性特有の問題
・女性特有の困難さがあるという事実。
・女性のライフサイクルの複雑さ→ともすれば自己責任にされてしまう。子育て(次世代育成)への関与は今なお女性に関わる、これを高校時代に教えておいてほしい。
「現代女性のライフサイクルの木」
・卒業した後のライフコース→結婚・出産・節目でアイデンティティーの問いに迫られる。
・きわめて大事な意志決定がアある。
・多くの場合出産育児とキャリアは両立しないと思っている。
・院生ですらそう思っている。
・結婚などで中断した人はアイデンティティーの拡散傾向か見られる。
・結婚出産後のビジョンも持っておくべき。
・出産育児経験は決してマイナスではない。職場から見ても役立つ、
 達成・ケアする力両者のバランス感覚、
 コーチング、コミュニケーション、といった面で役立つ。
・高校教育、自分の人生と自己の形成をイメージしておきたい。
・青年期以降も自分という者は成長発達していくんだ!
・希望どおりに行くとは限らないが危機によって成長する
・高校時代にこんなビジョンに触れることも大切では
エリクソンはライフサイクルの各時期に心理社会的発達の課題がある。自分を取り巻く世界と自分との存在感・信頼感、自律性、自主性、勤勉性、アイデンティティーの獲得
・人生の危機に遭遇するごとに心理社会的発達の土台となる課題は、再体験・再体制化される。
・そのとき他者と関わる、相手と向き合う、相手の心を理解するのが大切。
・フェーストゥーフェースの研究をしている。
顔と顔・心と心を向き合わせる教育をここかしこでできるところで。
・自分の親が日々どんな仕事をしているのか?
どんなしんどさ・どんなところに仕事の誇り?
こういったことを知らない。
・プロフェッションというものがどのように次世代に繋がっていくのかを研究している。
 

キャリア教育をテーマとしたご講演でしたが、
参加者全体の客層を考えると
「中年期の発達課題」という題でお話しいただいた方が良かったかも知れない!


後半に出てきた「女性のキャリアプランニング」の問題はこれからの時代のメインテーマだと思う。