Geogami’s blog

日々の身の回りの出来事を中心に、 キャリア教育・地理教育 アクティブラーニングなどの教育方法 ICT等の話題を綴っています。

本年度の東京大学と一橋大学地理入試感想

東京大学一橋大学
 
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地理論述指導

ダメだったらおこがましいので書かないつもりだったが
何とか皆さん合格してくれたので
備忘録としてメモしておこう。


・今年は記述量も増えて書き切れなかったのではないかと心配した。
・自然・環境・都市・交通・生活・災害という内容で
 いわゆる「産業」分野と地図は薄い
・全体としてのテーマは何かぼやけた感じ。
・先進国が多い東大地誌だが今年の地誌は
 成長エンジンとしての南アジアと東南アジア

第1問
設問A
 環境問題としては最もポピュラーな二酸化炭素による温暖化がテーマ。
 統計資料は資料集に必ず載っている二酸化炭素濃度変化。
 この変動が人間活動と自然のサイクルでどの様に変化しているかを問う。
 季節変動によって濃度が変わる点に気がつくか?
 陸地の割合が高く森林も多い北半球には人口と産業が集中しており
 冬は二酸化炭素の排  出量が増えることが予想できれば書ける。
  (3)では「固定」という単語をどう使うかで悩むのではないか?

設問B
 赤道付近にみられないから転向力の関係で台風、世界の熱帯低気圧の名称は常識。
 恒常風の分布と海流といった地球における「循環」メカニズムは
 東大では必須知識。

 深刻化する地球環境問題特に温暖化と海水面の上昇と
 社会問題である人口爆発の結果にどんなところで
 どの様な被害が起こる事になるのか?
 防災や都市問題で事例は必ず学んでいるはず。

第2問
 珍しい交通分野の問題
 1997年の香港の返還後の統計だが
 中国本土への中継貿易における香港の重要性が低下していくことと、
 開放政策によって中国本土の工業の発展で製品の輸出が
 沿岸部の各地で盛んになっていくことを想像すれば解ける。
 パナマ運河の拡張工事のことは資料集などにも載っている。

 設問B
 イランは「政教一致
 今年の目玉といわれたインドネシアイスラム教の信者が多いが国教ではない点、 インドはヒンドゥー教だが十三億を超える人口の1割がムスリムである点を
 判断に使う。
(2)フランスは東側のベトナムから英国はサトウキビやスズを得るために
 インドからマレー半島に植民地を拡充する。
 緩衝国としてタイ王国が独立を守れるという話しに繋がる。
 フィジー南アフリカにもインド人が多い、
 インド人の多い地域を示した主題図が地図帳にも掲載されているはず。
 主題図が描かれていたら何を描こうとしているのか、
 その理由はなぜなのかをついでに考察しよう。

(3)日本がインドと協力して東アフリカ地域に進出したいという話は
 良く日経新聞に取り上げられているトピック。

 第3問
設問A
 定番の日本に関する出題。
 国勢図絵をみておくとよい。
 せめて地図帳の統計だけでも覗いておこう。
 三大都市圏の人口については都市問題や都市と村落で扱っているはず。

設問B
 地図に日本海、瀬戸内海とあるので都市は推測できるだろう。
 広島が三角州上にある事、
 真砂土の崩壊により豪雨災害時深刻な被害を受けたこと。
 鹿児島がシラス台地の丘陵地である事は多くの受験生は知っているはず。
 第1問で問われた沖積平野に置ける浸水の危険を問う問題が
 再度ここにも出ている。

設問C
 新しい出題イメージを醸し出したかったのだろうか?・・・なぜか会話文形式。
 現代の日本人のライフスタイルは地価の高い中心業務地域に近い
 都心商店街では買い回り品、
 地価の安い郊外では生鮮品などの最寄り品を
 ロードサイドショップに赴き車で購入するスタイル。
 これができないと生活が苦しくて
 都心に住んでいながら老人などが食料品を買いに行けない
 「フードデザート」の問題。
 地方においては中心商店街のシャッター通り化が進んでしまったりしている。

 難問の出題で知られる大学だが
 ここ数年落ち着いた出題になっている。

 いつも途上国からの出題が多いので昨今話題になっている。
 アフリカや東南アジアをマークはしていた。
 (他にも中南米中央アジアも心配だったけれども)
 結果的にアフリカだった。

  そして、大統領から目を離せない国として常に話題だからなのだろうか
 意外にも先進国の北米、アメリカ合衆国がどーんと出た。
 バングラヒ素の話しは模試やちょっと詳しい地域問題の資料で
 目にしていないだろうか。
 今回SDGsの内容についてはあまり触れられていなかったが今後は要注意か。

 とりあえず合格してくれて良かった。おめでとう。