Geogami’s blog

日々の身の回りの出来事を中心に、 キャリア教育・地理教育 アクティブラーニングなどの教育方法 ICT等の話題を綴っています。

2019センター試験地理B

2019年(平成31年)センター試験地理Bの感想
平成最後のセンター試験が実施された。
問題の参照先はこちら

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  ※とりあえず受験産業の関係をlinkしておきます。

  大学入試センターによる掲載をお待ちください。
概要
大問は6問 小問は合計35問 問題量は例年と比べ変化は無い

出題傾向についてはほぼ2015年以降の過去問の傾向を踏襲している。

ウクライナ中央アジアGIS・国内の鉄道交通による時間距離変化など
幅広く興味関心を持ち全分野を薄くともしっかり学習していないと
取っつきにくい問題もあり
地理の知識と過去問の学習がしっかり完了できている者には易しく満点を狙えるが
地理を完全履修していなかったり、
過去問の演習が不完全だったりすると取りこぼしがおこるだろう。


第1問
 定番の世界の自然環境と自然災害に関する出題
 基本知識の確認が多い。

設問1
 土壌の分布は気候・植生・(農業)の理解と関連づけて確認しておけば容易。
 学習の基本は地道だが気候分布を「地図」で確認しておく作業がよい。

設問2
 今年は世界各地の「特色有る地形」がピックアップされていた。
 4カ所とも授業では必ずふれる場所なのではないか。

設問3
 河川流量の季節変化、コンゴ川流域が年間通じて多雨である事は赤道の位置が分か
 れば推測できる。北極海に注ぐエニセイ川が春の訪れによる解氷で一気に増水する
 こと、それを利用して木材が下降に運ばれることなど、模試で出題がされているの
 で解きやすかったのでは?
 
設問4
 南半球の地点は1月の気温が高いグラフで有り、
 地中海性気候の特性が分かれば判別出来る。
設問5
 北極海の解氷は東アジアとヨーロッパを結ぶ航路の開発や
 野生動物の絶滅などマスコミなどでも話題になっている。
 普段からニュース等に接しておくことが大切か。
 グリーンランド北部は大陸氷河。

設問6
 転向力の関係で赤道付近には台風は発生しない。
 通常15度付近に発生高緯度側に進む
 (だからルソン島にはバナナプランテーションは少ない)
 日本における台風の上陸は秋が多いことなども授業で触れられているのでは?
第2問
 資源と産業に関する問い。
 ここも知識を問うものが多い。 

設問1
 農産物の伝播に関する問い。

設問2
 エチオピアの「カッファ」地方が連想できればOK

設問3
 農産物の販売というので一瞬平成30年の地理B追試で出題された
 英国における「茶」の問題を連想したが平易な問題だった。
 フードシステムを先進国が牛耳っていることは推測できる。

設問4
 牛乳→アメリカ合衆国、サトウキビ→ブラジル(バイオ燃料)
 テンサイ→寒冷地でイメージ。

設問5
 インド→ダイヤモンド加工、エチオピア→コーヒー豆
 コートジボワール→カカオ豆、ベトナム→組み立て型工業・履き物

設問6
 喫茶店→人口に比例、牛乳・乳製品→寒冷地・高地、水産加工→沿岸・漁港付近
第3問
 ここ数年頻出の都市と村落に関する問題。ここも知識を等問題が多い。

設問1
 パリの再開発副都心
 ラ・デファンス地区が凱旋門の幹線道路の西方向に確認できればOK
 放射環状路の中心部は旧市街

設問2
 消去法で行くと・・・
 北京→言わずと知れた中国の中枢、巨大企業の数と国際会議の数が多い
 ソウル→韓国人口は首都に一極集中・財閥関連企業も多い
 キャンベラ→人口と経済規模が小さいオセアニア地区、
  企業と会議の開催は少ない。

 設問3
 ここも消去法だと
 水運・ダム(サンシャダム)建設・内陸部→重慶
 奴隷・砂糖・三角貿易・河口・綿織物・港湾→リバプール
 宗教都市・沐浴といったら→ブァラナシ
 (もちろんエーヤワディーデルタ・米・木材・工業化・都市化→ヤンゴン)

設問4
 もっとも信者の多い宗教の組み合わせに着目すればOK
 問うている知識は基本だが、この問題はやや難しく感じる受験生は多いのでは。

設問5
 地図中の地名と地図の説明文を参考にする。 
 ただし地図「カ」では「今国府」という地名に引っ張られると迷うが・・・

設問6
 公立の劇場・音楽堂は人口集中地域
 国宝文化財は歴史の古いは西日本
 国立公園は自然環境豊かな北海道・東北・中部山岳地域
 
第4問
 これも定番、地中海沿岸地域の地誌

設問1
 アドリア海は寒冷風「ボラ」
 「フェーン」は暖かく乾いた風

設問2
 ボスボラス海峡・マルマラ海ダーダネルス海峡の西側
 日本の支援で海峡が横断できる。

設問3
 この問題は頻出
 
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設問4
 アルジェリア→エネルギー資源
 モロッコ→農産物
 イスラエル→工業製品

設問5
 カイロの旧市街は迷路型だが・・・
 ギリシャの財政危機
 カンヌ・ニース・モナコといったリゾートに関する問題は過去問にもある。
 ミラノ・トリノジェノバはイタリアの三角地帯

設問6
 地中海を挟んだ該当国の位置とルーマニアがローマ人の旧植民地由来なのもヒント
 
第5問
 マイナーな国といわれているが
 ウクライナ→青空と小麦の国旗(美人が多い)、
 ウズベキスタン→綿花・絹の道・アラル海中央アジア最大都市のタシケント
   
設問1
   ウクライナは平原
 アラル海の枯渇→乾燥地のイメージはもっているのでは?

設問2
 黒土(チェルノーゼム)帯→ウクライナ→小麦
 中央アジア→人工潅漑による綿花→アラル海の涸渇

 ウクライナソ連時代の工業地帯

設問3
 1991年ソ連の解体→「計画経済から市場経済

設問4
 ムスリムの多い地域は豚肉は少なく
 乾燥地には羊
 日本では羊肉はあまり食されない。
 
設問5
 ウクライナはロシア語に綴りが似ている点
 東方正教の教会(伊豆修善寺にもロシア正教の教会がある)
 イスラム教のモスクは確認できる。 
第6問
 定番の地域調査、今年は九州宮崎県でした。

設問1
 鉄道マニアが好きそうな問題(何人かのにやけた生徒の顔が思い浮かぶ)
 「小さくなる地球」などのテーマで
 交通機関の発達による「時間距離」の短縮は地図化されている。
  東京からの時間距離などの図は資料集にもある。

 問題文中に「新幹線」という言葉も散見される。
 北陸・九州新幹線の開通など普段からニュースに接していたり
 日常生活と地理的空間・時間距離など意識している者は解ける?
 こういった実生活に関わる関心・知識が減ってきている点が
 昨今の生徒の最大課題ではある。

設問2
 観光のデータだが日本の自然環境「気候の特性」を聞いている。
 小中学校での学習内容もセンターでは重要 

設問3
 「ブラタモリ」を見ている感覚の問題
 多雨→高潮では無いから×?

設問4
 文章に従って冷静に判読すればOK
 GISの新旧データを読む問題ははじめてかな?
  GISの活用に関する出題は今後増えそう。
  
設問5
 耕地面積あたりの農業産出額が高井のは野菜の促成栽培
 平地は米で県内各地に
 産地では椎茸

設問6
 口蹄疫に対する対応というテーマだが
 地図データの読み取り問題。 

全体のイメージ
 難問・奇問は無くバランス良く幅広い学習が問われる出題。
 本番当日、冷静に資料や発問を読み取ることができればOK
 解答のパターンに慣れるために
   まとめ期には過去問の演習が有効と思われる。

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「21世紀型教養」を意識しつつこのテストでも点を取れる授業模索への旅立ち