Geogami’s blog

日々の身の回りの出来事を中心に、 キャリア教育・地理教育 アクティブラーニングなどの教育方法 ICT等の話題を綴っています。

アクティブラーニング時の「同調」による危険性

「アクティブラーニング」をすすめていく中で1つの懸念がある。

 「元々分かる問題なのに、他人が違う意見を言うことによって答えられなくなる。」
 こういったことは発生しないだろうか?
この「同調」によるマイナス面にも授業者は気がついておく必要がある。
 同調(効果)とは、大勢の意見に個人の意見が引っ張られてしまう(効果の)こと。

米国の心理学者アッシュ(Solomon Asch, 1907- 1996)の「カード」の実験

   
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1950年代の実験
 二枚のカードに描かれた線の長さを答えるというもの
 左の「線A」と同じ長さのを右のカードから選ぶと「線2」になる。
これは誰にでも分かる。

 実験は50人を7~8人のグループに分けて行われた
もちろん被験者以外は「サクラ」である
周りの人がすべて「線1」を選ぶ様子を見せる。
すると・・・
被験者は「線2」が正しい答えだとわかっているにもかかわらず
「線1」の(間違った)答えを選んでしまう。

他の問題も出していく
「さくら」が協力する問題は12題
 協力しない問題6題

結果:最後まですべて自分の意見を通せた=自分の意見を貫き通す事ができた人の割合はなんと→13名だけだった !
 人は案外すんなりと他者の意見に従ってしまうものだ。
(残りの37名は一度は他者の意見に従ってしまっていた!)

アクティブラーニングの根底には
「安心安全」の場と「自分の意見を言える主体的な『個の確立』」が必要なようだ。
人は一般に他者から受け入れられたいという動機を持っている。
(これを「規範的影響」という)

シェリフ(Sherif)による自動光点運動(autokinetic effect)の実験

 シェリフの「自動光点運動」の実験というものもある
 実は「答えがない」実験でも他者の意見を参考に「規範」が作られていく。
 集団の中で一回「定着」するとそれが個人の規範になっていく。

 アクティブラーニングをすすめるにあたっては、
「教科・教材・問い」といった内容面の研究と
「教授法」・「評価方法」の他に
「個と集団」のもたらす特性の一般法則にも
 着目しておく必要があるのではないだろうか?